善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)
善管注意義務とは
善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)とは、賃借人(部屋を借りる側)が賃貸管理を行う上で注意すべき義務のことです。民法第400条(善良な管理者の注意義務)、第644条(受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う)に乗っ取った規定です。
善管注意義務を怠った故に起こったトラブルや損害が賃貸人の過失と判断されると、賃貸人(部屋を借す側)は損害賠償や契約解除の申し出が可能になります。
善管注意義務にまつわるトリビア
善管注意義務は不動産に限らず、中古車・美術品販売、医療現場やM&A取引など業務の一貫として品質管理を伴うものに幅広く適用されます。管理者としての義務を欠いた過失を「抽象的過失」といい、過失の軽いものは「軽過失」、著しい過失を「重過失」と表現します。
善管注意義務を怠り訴訟問題に発展、敗訴した場合、刑法上では「罪の意識なく法律を犯した」過失犯として処罰されます。
口約束や無報酬での物事の預かり(親が子を友人に預けるなど)に善管注意義務は適用されません。
善管注意義務と引っ越しのカンケイ
賃借人は、賃貸に入居することによって必然的に善管注意義務を負うことになります。不注意によるカベや床のキズ・へこみ・汚れ、手入れを怠ったことによるサビやカビ、設備破損がこれに該当します。これらの項目は退去時にチェックを行い、それに応じた修繕費が請求されます。身に覚えのない損傷(前の住人や引っ越し業者がつけたと思われる)の修繕費が請求されないためにも、入居前のチェックと写真撮影は必須です。