費用償還請求権(ひようしょうかんせいきゅうけん)
費用償還請求権とは
入居者が出費して建物の修繕を行った場合、大家さんに請求する権利のことを費用償還請求権といいます。
ベランダの手すりや雨漏りなど、生活する上で必要な修理に使った費用を「必要費」、エアコンの設置や畳からフローリングへの改修など、建物の価値を高めるために使った費用を「有益費」といいます。
この権利は、賃貸契約の特約によって排除(「必要費・有益費は賃借人の負担」などの条項の記載)することが可能なため、契約時によく確認しましょう。
費用償還請求権にまつわるトリビア
費用償還請求権の問題は「有益費」。退居する時に、「現状回復して欲しい」という大家さんと「改修費を払って欲しい」という入居者のトラブルになりがちです。
例えば、個人負担でシャワーをつけたり、バーカウンターを設置したりした場合、それが「部屋の価値を上げたか、個人の好みの問題なのか」が争点となります。あとあとトラブルの原因にならないように、改修の際はよく話し合い、修理費の負担を明確にしておきましょう。
費用償還請求権と引っ越しのカンケイ
例えば、自分の負担で壁紙を張り替えた場合。張り替えてから10年後に退居した場合は、新しい壁紙の価値がなくなっていると判断され、費用償還請求権にもとづく請求はできないでしょう。逆に張り替えてすぐに退居する場合は、費用のほとんどを請求することが可能です。
しかし、大家さんがリフォーム計画などを考えている場合もありますから、何も相談せずに張り替えることは避けましょう。有益費償還請求権排除の特約は契約書の「明渡し時の現状回復」の条項に記載されていることが多いです。
