「ワンルーム」と聞いて、「狭い」「安い」などネガティブなイメージを持つ方も少なくないはず。
実際に、「お金がないから」という消極的な理由で、ワンルームを選んでいる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そんな絶望気味の皆様に夢と希望を持ってほしいと始まった企画がこの「突撃! ワンルーム王子」。ワンルームという限られた空間をうまく使い、豊かな毎日を過ごしている王子たちのお宅を訪問して、スペース活用法やオシャレな部屋づくりのコツをお届けしていきます!
やってきたのは吉祥寺。そこからバスに10分ほど揺られると、ワンルーム王子の家はあります。
ピーンポーン。
インターフォンを鳴らすと、爽やかな笑顔で出迎えてくれたこちらの彼が今回のワンルーム王子でありますnobott’sさん。普段はインテリアショップで働いているとのこと。
どんなオシャレなお部屋が待っているんでしょうか。期待が高まります。
まず玄関に入って目に付いたのは、自転車のホイール。突っ張り棒にフックをかけて吊るされています。
「趣味が多いので、そういう自分の好きなものが滲み出る空間にしたいんです。ただ、モノが多くてごちゃごちゃしないようには気を遣っていますね」
こうして吊るせば、威圧感がなく、ホイールも何だか1つのインテリアのように見えてくる気がするから不思議です。
玄関に入ると短い廊下があり、右手にトイレ、お風呂、そして部屋が続きます。落ち着いたカラーリングで統一されたワンルームはキッチンを含め8畳。クローゼットが付いているとはいえ、特段広いとは言えないお部屋ですが、スペースをうまく利用しながら、王子の大好きな趣味が滲み出るような工夫が至るところにされていました。
例えば、この写真。何だか分かりますか?
そう、これは自転車のサドルと競輪用自転車のハンドル。高校のときから好きだったという自転車のパーツをこんな風に取り入れるとは驚きです。しかも、こうして見ると、まるで何かのオブジェのよう。うーん、センスを感じます……。
何気なく照明を見やると、一風変わったデザインの紐が付いていました。しかし、この形、どこかで見覚えがありますよね。そう、実はこれも自転車のチェーンを利用したもの。
違和感なく、自転車モチーフを取り入れようと王子が考え出して作ったんだとか。確かに、限られたスペースでは、ごちゃごちゃと趣味のものを置くよりも、このように部屋にさりげなく溶け込ませるような形の方がすっきり見えて良さそうです。
そして、この部屋最大の特徴はつるされた自転車。ラックの上に飾られたホイールもインパクトがありますが、比ではありません。つり方は先ほどのホイール同様、突っ張り棒とフックでつるしています。
フック自体も「あそび」があるので、つっかえたり、ぶら下がったりすることなく、ちょうど良い位置で支えることができます。これほどまでにインパクトを持ちながら圧迫感がなく、おまけに省スペースを実現できる見せ方に圧巻。もはや言葉もありません。
ちなみに自転車はオランダからの輸入品で、colossiというブランドなんだそう。かっこいいですね
「家具は安さを重視しています。」
例えば、写真に写っている椅子の骨組はIKEAで5,000円ほどだそう。ラックにも使われているパイン材の椅子を選ぶことで、材質を統一し、部屋全体を引き締めることにも成功しています。
そしてこの王子がすごいのは、自分で家具を作ってしまうところ。「一番落ち着く場所」と話す、こちらのローテーブルも、材料を買い揃えて自分で作ってしまったもの。
本来はもっと凝ったデザインで、今は設えを外してしまったようですが、材料費は10,000円、約3時間程度で完成させてしまったんだそう。「本当に気に入ったものしか置きたくないんですけど、気に入るものは高いので自分で作っちゃいました」と話す彼は、実はインダストリアルデザイナーの父を持つインテリア界のサラブレッド。
来月からは自身もインテリアデザイナーの下として働くのだとか。確かに、自分で作ってしまえば相当安上がり。10,000円で、こんなローテーブルが手に入るなら、ちょっと頑張っても良い気もします。
先ほど紹介したローテーブルの使い方は、他にもありました。
自転車の整備を部屋の中で行う王子は、無印良品の「頑丈ボックス」に腰かけ、ローテーブルに工具を置いて作業。なるほど、頑丈ボックスが低めのスツール代わりになり、また、ちょうど良い高さにテーブルがあることで、作業がしやすくなるのですね。
おまけに頑丈ボックスは工具入れとしても機能しており、作業が終わった後はクローゼットの中で収納用具になるので、無駄がありません。細部まで計算し尽くされた家具それぞれが持つ特性は、まるでパズルがはまるように機能しています。絶妙……!
その他、限られたスペースを有効活用するための収納術として、オシャレな箱に分けるということを教えてくれました。
例えば、ラックに並べられた書類ケースには、このように雑誌や本のほか、ハンガーなどが収納されています。「見せなくて良いものは極力見せないのがポイント」と話す王子。
「中身はそんなにオシャレなものは入っていないんですよ」とは言っていましたが、ボックスの名門Fellowesの箱が並べば、一気にオシャレ感が増すうえ、すっきりとした印象に。仮に下着が入っていようがエロ本が入っていようがオシャレです。(※王子のボックスには下着もエロ本も入っていません)
「どうせ収納用だし」と適当なダンボールに妥協しないという意外にも身近なところに素敵な部屋への近道があるかもしれませんね。
他にもなくしてしまいがちなコード類はまとめてフックにかけるなど、収納の工夫が見られました。
「『これはここ、あれはあの箱』というようにカテゴリーを決めて、1か所ずつ片付けていけば散らかることはないと思いますよ」
あぁ、勉強になるなぁ、と同時に耳が痛い……。
多趣味な王子は料理も趣味の1つ。休日は、お弁当を持ってちょっと遠くの公園まで自転車で出かけるのだとか。
取材した日も、昼ごはんのレシピを考えて、準備していた真っただ中でした。そんな王子の台所は、なんと3口コンロ。この3口コンロが部屋の決め手の1つだったという王子ですが、料理をする人にはかなりグッとくる嬉しいポイントかもしれません。
「どうせ料理しないから」と手狭な台所の部屋を選ぶ方もいるかと思いますが、少しでも料理をする気があるならば、台所は広めの方が吉。小さい台所をチョイスすると、ますます料理をする気がなくなり、外食、コンビニ食にどっぷり浸かるスパイラルに陥ってしまいます。
「お風呂に追い炊き機能が付いていたことも決め手でした」
お風呂を覗かせてもらうと、浴槽に洗濯物がつけ置きされていました。
「夏場なんかだとTシャツを洗濯機でガシガシ洗うより、つけ置きして手洗いした方がよく手入れできるので」
洗濯機を持たない一人暮らしの男性は多いと聞きますが、大抵の方はコインランドリーを利用しているはず。なるほど、洗濯機を持たなければ、引っ越しのときの荷物も減りますし、自分でつけ置き洗いすれば、節約にも繋がります。おまけに生地も傷まないとあって、一石三鳥。
名案ですね、手間はかかりますが……。
気になる家賃ですが、住みたい街不動の第1位を誇る吉祥寺で、3口コンロと追い炊き機能付きの8畳1Rにこれだけオシャレに住めて、なんと65,000円。
安い……安すぎる。吉祥寺から徒歩40分と少々遠くはありますが、自転車を使えばゆっくり漕いでも15分ということで許容の範囲内でしょう。
おわりに
絶望に打ちひしがれ、少々卑屈になっていた皆さん、いかがですか? 夢と希望が得られましたでしょうか。
今のあなたの住む部屋もちょっとの工夫次第で、素敵に変身するかもしれません。今回ご紹介したノウハウを試しながら自分の城をドレスアップさせ、少しでも心豊かな生活をしてみてくださいね。