
こんにちは! ライターのmisakiです。
これまで「シングルハック」では、都内の一人暮らし事情をたびたびお送りしてきました。が、今回は番外編ということで台湾の若者の一人暮らし事情についてお届けします。
結論から言うと台湾の若い人たちはほとんど一人暮らしをしていなかったのですが、なぜ一人暮らしをしないのか? そこで生活しているのか? 事情を聞いてきました。
台湾は家賃が高くて住めない…!?
ここ数年で、台湾の首都・台北では、空前の不動産ブームらしく、なんと2015年世界の不動産バブル国ランキング(参考:2015年世界の不動産バブル国ランキング!日本はなんと○○位!)では堂々の1位。
なんでも中国人に不動産売買を解禁したことや、交通インンフラの整備により台北エリアへ人口が集中しているのが原因だそう。
台湾に留学している日本人からも「台湾は家賃が高いから、一人暮らしをしている人は少ないですね。実家暮らしかルームシェアをしている人が多いですよ」とのこと。
台湾、マジか……。
いざ、台湾へ!
それでも、台湾の若者がどんな生活をしているか知りたい!! ということで、なんとか知り合いを伝って現地の方に取材許可をいただきました。
今回おじゃまするお部屋は、台北市に隣接する新北市。29区からなる新北市は397万人もの人が暮らしており、台湾の中でも最大の人口を誇るエリアです。

最寄り駅はMRT中和線頂溪駅。乗り継ぎが1回ありますが、台北駅からたった4駅でアクセスは良好です。
頂溪駅から歩くこと約10分。高級住宅とローカルなお店が並ぶ道路を抜け、路地に入っていくと、古い集合住宅が目に入ってきました。

この住宅街の一角に今回お邪魔する家があるんですが、とにかく人の姿が見えない! なんだかマフィアのアジトがありそうな雰囲気……。
……とんでもないところに来てしまったかも。
外観だけで判断すると、あまり期待はしないほうがよいのか。台湾は家賃が高いというから、住めても古びた部屋なのだろうか。
そんな思いを巡らせながら意を決してマンションの中へ。

エレベーターを降りて立ちはだかったのは二重の扉。古い建物だから簡単な造りかと思いきや、意外とセキュリティがしっかりしている?

「Welcome!」とあたたかく迎えてくれたのは、現在台北の大学院に通っているオリビアさん。平日は、一般企業でインターンをしながら勉学にも励んでいる女子大生です。
「おじゃましまーす!」を英語と中国語でなんて言うのかわからないので、心のなかでつぶやきながら、中へ入ると……

ひ、広い!!
奥行きのあるリビングルームが広がっていました。あの古びた外観はフェイク!? 台湾の若者ってこんないいところに住んでいるの?
開いた口がふさがらない。
3つの個室があるファミリータイプの部屋を、友人3人と一緒にルームシェアをしているオリビアさん。
3人でこの広さは贅沢じゃないか……と思いながら、リビングを歩き回ってみると、

にゃんこと

うさぎさんがいました。
いずれにしても、3人2匹で住むには十分な広さ。
オリビア「台北は家賃がとにかく高いの。だから、台北から少し離れて何人かでルームシェアをするか、マンションタイプだけど部屋の外に共用のバスルームやトイレがあるところに住むことが多いんだよ」
台中出身のオリビアさんは、大学院進学に伴い台北に住み始めて3年。この場所に決めた理由を聞くと、MRTに乗れば台北までのアクセスもいいし、大学にも近いかららしい。
新北市のなかでも台北から近い頂溪駅のエリアは、住む場所として多くの人に選ばれているようです。
ここは日本か!? 日本製品にうめつくされた部屋
リビングの広さを目にしてしまったら、嫌でも部屋への期待が高まります!
オリビア「本当に寝るだけのための部屋だからせまいよ! 日本のサイトに載せるほどじゃないから!」
突然取材を中止しようと言ってきましたが、いやいや、ここまできたら引き返せません。

「ノープロブレム!!」と、難色をしめすオリビアさんの背中を押し、うっすらと光がこぼれる部屋へと向かうと……

せ、せまっ!!
最初に広々としたリビングルームを見たせいか、とてもこじんまりとしている。4畳半ほどの部屋にはベッドと本棚と、小さな棚のみ。
オリビア「ね、せまいでしょう!」
わたし「……イッツスモール!」
オリビア(だから言ったのに……)
しかしながら、4畳半の部屋のおかげで、ようやく親近感を覚えたような。せまいところって、なんだかホッとしますよね。

おもしろいものがないかと物色してみると、さっそく見つけました!!
部屋の片隅に置かれた棚の上に、“くし”が3本。3本って多すぎませんか?
オリビア「左のくしは友だちが忘れていったもので、残りの2本はわたしのくしなの。1本はシャワーを浴びる前にとかす専用のもので、もう1本はシャワーを浴びたあとに使っているよ。頭洗う前に使ったくしを、洗ったあとにまた使ったらせっかく洗った髪の毛が汚くなっちゃうからね」
なるほど……。そんなことしている人に初めて出会いました。
台湾人はかわいい女の子が多いと評判ですが、その裏にはこんな美意識の高さがあったのか。いや、台湾人が全員こうしていると限らないし、日本人にもこんな使い分けをしている人がいるかもしれないけれど、オリビアさんの美意識の高さに驚くばかり。

これ以上自分の美意識の低さを自覚したくはないと思いつつも、ひるまずクローゼットの中身をみせてもらいました。

後ろからクローゼットの中をのぞきこんでみると、なにやら見覚えのあるものが……! 日本語! 日本語がみえる!
よくみると、その数1、2つどころじゃありません!
安心の日本製品

クローゼットだけではなく、部屋にある日本製のものを出してもらいました。出てきたものは、化粧品、コットン、電化製品、あの有名なご当地土産まで!
オリビア「日本の化粧品ってとても使い心地がいいんだよね。だけど、台湾で買うと高いから、日本に遊びに行く友だちがいたらその子に頼んで買ってきてもらうことが多いんだ」
わたしが使ったことのない商品の良さを紹介してくるオリビアさん。こんなところで、メイドインジャパンのすごさを力説されるとは。なんだか、日本にいる感覚におぼれてきた。
“ルームシェアあるある”を解消するバスルーム

日本臭漂うオリビアさんの部屋を後にし、次に覗かせてもらったのはバスルーム。
照明スイッチの形が横になっているのを発見し、バスルームは「日本となにかがちがう」と、謎の直感が。

……と、思いきや、どうやらごく普通のバスルーム?

もちろん、バスルームにも日本製品を常備。オリビアさん、ぬかりねぇ……。
だけどこれじゃ、ネタにならない……ネタをくれ!! と、上を見上げると、換気用らしきな窓が。
オリビア「あの窓の向こう側はね、バスルームなんだよ」
換気用じゃない? 壁の向こう側もバスルーム?
つまり……、バスルームが2つあるってこと!?
やっぱり普通じゃなかった!

オリビア「ファミリータイプの家には、バスルームが2つあることが多いんだよ」
3人しか住んでいないのに、バスルームが2つもあるってすごい!!
日本では夜遅く疲れて帰ってきたときに、誰かが風呂に入っていると一瞬萎える“ルームシェアあるある”。バスルームが2つあれば、たとえ同じ時間に帰ってきても、シャワーを浴びる順番で困ることはなさそう。なんて素敵な造り!
台湾のファミリータイプでルームシェアすれば、お風呂が2つついてくる! 覚えておきましょう!
オーガニックスーパーフード? 健康食満載のキッチン
バスルームが2つあるという衝撃を抱えたまま、最後に案内してもらったのはキッチン。

こんなキッチンがあれば料理するわ、したいわと思ってしまう広さ。
台湾では屋台や売店が立ち並ぶ夜市が栄えていることもあり、外食することが多いそう。そのため、料理をしない、できない女の人も珍しくないと聞きますが、オリビアさんはいかに。

キッチンの横にはお店の棚のように広々とした収納棚。めちゃくちゃ収納できそう! いろいろな食品が置いてあるということは、オリビアさんは自炊派なのかも。

冷蔵庫に答えがあると思い、のぞいてみると、卵やりんごなど生鮮食品が意外と置かれている! これは自炊しそうだ!
わたし「普段料理するの?」
オリビア「しないかな〜。野菜や点心、ほんのたまにインスタント食品を食べているね」
わたし「しないのかよ!!」
どうやら卵やりんごはルームメートのものだそう。まぁ若いからインスタント食品食べるよね〜と、仲間意識が芽生えていたら、なにやらオリビアさんがあるものを見せてきました。

オリビア「でも、朝はだいたいオートミールか、グラノーラーを食べているよ」
なんと! 普段朝ごはんを食べていないわたしから見たら、朝ごはんを食べるだけでも健康と思うのですが……。オートミールって健康食じゃないですか!

オリビア「これはヨーグルトや、スムージーに入れてよく飲んでいるよ」
わたし(ごまかな……?)
どうやらオーガニックスーパーフードとよばれるものらしい。
オーガニックフードではなく、オーガニックスーパーフードを選ぶあたり、健康志向の度合いがちがう……。朝食だけ気にしているわけじゃないんですね。

これはどう見ても木の皮にしか見えない!
オリビア「これを茹でて、水と一緒に飲むの。美容と健康のためにね」
木の皮の様のものの正体は、「當歸」とよばれる日本でいう漢方薬。台湾は、漢方が並ぶ問屋街が観光名所のひとつとなっているほどの漢方大国。聞けば薬局で売っている薬やビタミン剤よりも、今も昔も好んで漢方を服用しているそうです。
それにしても、オートミールに、オーガニックスーパーフードに、漢方……。オリビアさん、健康志向高すぎませんか? インスタント食品を食べているから、同じ土俵にいると思ったら、大間違いでした。
結論、オリビアさんは料理はしないけれど、めちゃくちゃ健康には気を使っていました。
おわりに

くしを使い分け、日本製品を愛用し、健康にも気を使うオリビアさん。美意識と健康意識の高さを最後まで見せてくれたお部屋でした。
そして、バスルームが2つあるという造りにも驚き。海外の物件って、日本とはまた違うおもしろさがあると実感。
次はどこの国の若者の暮らしをのぞくのか、次回がいつになるか未定ですが、また海外の若者の暮らしを紹介できればと思います! おたのしみに!