家賃とは別に管理費・共益費が必要となる賃貸物件は多いですが、管理費・共益費は一体何のために別にしているのか、そして何に使われているのかイマイチわからないですよね。わからないまま支払うのと、納得した上で支払うのとでは気分が違ってくると思います。
今回は、家賃、管理費、共益費のそれぞれの意味・用途、管理費・共益費がある物件とない物件の違いについて解説したいと思います。これから賃貸物件を探される方も、今まで何となく管理費・共益費を支払ってきた方も、この機会に管理費・共益費について知っておきましょう!
家賃について
家賃は、賃貸物件の賃貸借契約に基づき、物件を使用する対価として借主が貸主に支払う対価を指します。賃貸物件の構造、設備、立地条件、地価、需要などに基づき、相対的に設定されます。
家賃は貸主が自由に設定することができるため、同じ条件でも賃貸物件によって家賃に差が生じます。家賃を高めに設定すると入居者が決まりにくく、安く設定すると利回りが悪くなるため、周囲の賃貸物件の家賃に合わせて決められることが多いです。
同じ賃貸物件でも、部屋の階数によって家賃が変わることもあります。上層階の方が家賃が高いのは、景色が良い、防犯面で安心、日当たり・風通しが良い、虫が入ってきにくいといったメリットがあり、人気が高くなるといった理由が挙げられます。
また、角部屋は日当たり・風通しが良く、中部屋と比べて生活音に悩まされる可能性が少ないことから人気があるため、家賃を高めに設定している賃貸物件もあります。賃貸物件によっては角部屋も中部屋も家賃が同じ場合もあるため、一概に角部屋だから必ず家賃が高くなるというわけではありません。
管理費について
管理費は、物件の維持・管理にかかる費用を指します。管理人の人件費、共用部分の清掃代、設備の点検代などが含まれます。賃貸物件の維持管理に関わる費用全般を管理費とするなど、管理費の定義は広く、家賃に含まれる場合もあれば、含まれない場合もあります。管理費がないからといって、共用部が清掃されないというわけではありません。
管理費は貸主、または管理をまかされている不動産会社が決めており、一般的には設備のグレードが高くなると管理費も比例して高くなる傾向があります。同じ物件でも部屋によって管理費が異なる場合は、部屋の広さ(専有面積)が関係しています。
設備は管理費に大きく関係していて、エレベーターがあるマンションとないマンションでは管理費に差がつくことが多いです。エレベーターがあるマンションは、管理費にエレベーターの点検代などが含まれるため、管理費が高くなる傾向があります。他にもオートロック、自動ドア、宅配ボックス、セキュリティなど、設備の充実度も管理費に影響することが多いです。
共益費について
共益費は、共有部分の維持管理にかかる費用を指します。マンションやアパートの共有部分は、エントランス、エレベーター廊下、階段、屋上、電気・給排水の共用設備などが該当します。
管理人が廊下を掃除したり、電球を交換するなど、共有部分を管理するための費用が共益費にあたります。管理人の人件費、掃除用具代、電球の交換費用などが共益費に含まれます。
たとえば、廊下は居住者が共有して使う部分であるため、廊下の電球が切れた場合は居住者全員で交換費用を負担することになります。エントランスや廊下を綺麗に維持するために清掃員を雇っている場合、清掃員の人件費は共益費から支払われていることになっています。
管理費は物件全体の管理にかかる費用を指しますが、共益費は共有部分の維持管理かかる費用であるため、管理費よりも用途が具体的であると言えます。賃貸物件によっては共益費に管理費を含め、共益費とだけ表示している場合もあります。
管理費・共益費がある物件とない物件の差は?
では、賃貸物件によって管理費・共益費があったりなかったりするのはなぜでしょうか?
それは、家賃に含まれているかどうかの違いです。賃貸物件によっては、家賃に管理費・共益費が含まれているため、管理費・共益費の記載がされていません。管理費・共益費がないからといって清掃や点検などの管理がされないわけではなく、家賃に含まれているかどうかの違いになります。
管理費・共益費を別にする理由
管理費・共益費を別にするのは、主に以下の2つの理由が挙げられます。
- 管理費・共益費を別にすることで家賃が安く見える
- 不動産会社に支払う仲介手数料や保証料は家賃にかかるため、管理費・共益費を別にした方が入居者の負担が少なくなる
1の場合、たとえば「家賃55,000円+管理費・共益費5,000円」の物件と、「家賃60,000円(管理費・共益費込)」の物件を比較した場合、前者の方が家賃が安く見えますよね。実質的に支払う総額は変わりませんが、入居者の目に止まりやすくなります。
2の場合、不動産会社に支払う仲介手数料は一般的に家賃をベースに計算されるため、管理費・共益費を家賃とは別にした方が、入居者が支払う手数料が少なくて済みます。家賃保証会社に支払う保証料も家賃をベースにすることが多いため、入居者の負担を減らす目的で管理費・共益費を別にしている場合があります。
まとめ
管理費・共益費は、基本的に物件の管理維持のために使われます。家賃や管理費・共益費は貸主が自由に決めることができるため、賃貸物件によって管理費・共益費の有無が異なり、金額もまた違ってきます。賃貸物件を選ぶ際は、管理費・共益費の有無ではなく、総額で物件に見合った金額であるか、きちんと管理が行き届いているかどうかなど、総合的に判断しましょう。
賃貸情報サイトで検索する場合は、管理費・共益費込みであるかによってヒットする賃貸物件のラインが違ってくるので、管理費・共益費込みにチェックが入っているか外れているかを確認した上で物件を探してくださいね。