
「賃貸住宅に入居するなら、火災保険に加入しなければいけないの?」と疑問を持たれている方は多いことでしょう。火災保険は基本的に2年単位の一括支払いで金額も安くないので、できれば節約したい気持ちもわかります。しかし、残念ながら現実的には火災保険の加入は必須です。
賃貸住宅とは切っても切れない縁の火災保険の基礎と種類をまとめましたので、この機会にちょっと勉強してみませんか? 火災保険は借主にも貸主にも大きく関係しているので、賃貸住宅に入居するなら火災保険について知っておきましょう。同じ加入するにしても、必要性を理解しているのとしていないとでは保険に対する考え方が変わってきます。
賃貸は火災保険の加入が必須?
賃貸住宅を借りる際、火災保険の加入は任意となっていますが、火災保険の加入を条件としている物件がほとんどなので、実質的には加入が必須となっています。貸主と交渉して火災保険に加入せずに契約することができれば別ですが、現実的には難しい交渉です。
なぜ、賃貸の契約に火災保険の加入を条件にしているのかは、貸主の立場になって考えればよくわかります。万が一、火災保険に加入していない借主の部屋が出火した場合、借主が貸主に賠償しなければならないわけですが、火災の程度によっては数千万円の損害賠償が必要です。それだけの金額を支払えと言われても難しい方がほとんどですよね。
一方、火災保険に加入していれば保険会社から補償金が支払われます。貸主としては、火災発生時のリスクを見越して火災保険の加入を必須条件にしているのです。
火災保険は借主にとっても万が一の備え

火災保険は借主にとっても万が一の備えになります。先にも説明した通り、もし自分の不注意が原因で火災を発生させ、数千万円の賠償を支払わなければならなくなった場合、火災保険に加入していれば保険会社が代わりに支払ってくれます。火災保険に加入しておらず、数千万円の損害賠償を支払うことになれば、その後の人生設計が大幅に狂ってしまうでしょう。「自分に限ってそんなことはないだろう」と考えずに、万が一に備えて火災保険に加入しておいた方が安心です。
賃貸で加入する火災保険の種類
賃貸で加入する火災保険は、火災だけと思われがちですが、保険の種類によっては自然災害や事故に対応してくれるものもあります。種類によって補償範囲が異なりますので、火災保険の種類について理解をしておきましょう。
住宅火災保険
賃貸用に利用されている一般的な火災保険で、火災による損害だけでなく、落雷・破裂・爆発・風・ひょう・雪災などの自然災害による損害にも対応しています。地震保険を付帯することも可能です。地震保険は住宅火災保険では補償されないため、別途付帯して加入しなければなりません。地震保険単独で加入することはできないので、住宅火災保険に加入することが前提です。
住宅総合保険
住宅火災保険の補償内容に加え、水濡れ・水害・騒じょう・労働争議・盗難から外来物の落下・衝突・倒壊まで対応してくれます。こちらも地震保険を付帯することが可能です。住宅火災保険よりも補償内容が広いため、その分保険料が高くなりますが、保険によってはプラス2,000円程度で補償内容を広げられるため、住宅総合保険も考えてみてはいかがでしょう。
オールリスク型の火災保険
住宅総合保険でカバーしていない補償にも対応しているタイプで、補償範囲が幅広いのが特徴です。保険会社によって補償内容が異なりますが、住宅火災保険・住宅総合保険で補償される内容以外の損害にも対応していたり、損害額に関わらず実損額を補償してくれるものなど、補償内容が充実しています。補償内容が拡大される分、保険料が上がりますので、保険のタイプと特約をよくみて選ばないと、無駄に保険料が高くなってしまいます。
火災保険加入時は内容を要確認
火災保険は種類やプランによって保険料が上下するため、賃貸契約時に提示される火災保険の内容をよく確認しておきましょう。多すぎる、または少なすぎる場合、調整しないと過不足が発生し、自分に適した火災保険とはいえなくなります。不要な補償で保険料が高くならないように、または不足で受けたい補償が受けられないという事態を防ぐために、契約時にしっかり確認しておきましょう。
解約時に解約返戻金が支払われる
退去に伴い、契約中の火災保険を途中で解約する場合、解約返戻金が支払われます。火災保険は基本的に2年単位で支払い、保険会社に預けているという形になっています。ですので、未経過の期間の火災保険は契約者に払い戻しされます。解約返戻金を受け取るには解約手続きが必要ですので、退去をする際、火災保険の解約手続きも忘れずにしておきましょう。
転居先の住所に変更することで火災保険を継続することも可能ですが、建物の構造などによって保険料が変わってきますので、継続する場合は保険会社に問い合わせてどれだけ保険料が違ってくるのか把握し、もし前回契約時にはなかった新しいプランがあったり、転居先に適したプランがあるなら、保険の切り替えも検討した方がいいでしょう。
まとめ
火災保険は任意ではあるものの、契約の条件に含まれていることが多いので、現実的には加入が必須となっています。保険はよくわからないからといって、確認せずに契約をするのではなく、必要な補償が受けられるか、不要な補償はないかを確認し、自分の暮らしに合った保険を選ぶようにしましょう。退去をする際は、解約手続きをして解約返戻金を受け取るのもお忘れなく。