住宅のクロス(壁紙)はビニールクロス、織物クロス(布クロス)、紙クロスなどがあります。防カビ、抗菌、汚れ防止、消臭、吸放湿性・調湿性など、クロスによって備えている機能もさまざまです。
賃貸物件ではクロスを選べませんが、チェックすることはできます。クロスの種類や機能によってお手入れの手間や快適さが違ってきますので、内見時にクロスをチェックすることをおすすめします。クロスの種類と特徴、機能をまとめましたので、より良い物件を選ぶためにぜひ目を通していただければと思います。
クロス・壁紙の種類と特徴
ビニールクロス
ポリ塩化ビニール樹脂を原料としたクロスで、安価で耐久性に優れていることから広く使われています。表面が凸凹になったエンボス加工をしたタイプ、プリントを施したタイプ、発泡させたタイプなど、いくつか種類があります。色やデザインが豊富にあるため、好みで選びやすいです。掃除がしやすいのもビニールクロスのメリットで、家庭用の中性洗剤を水で薄めた液などで汚れを取ることができます。
織物クロス(布クロス)
レーヨン、合成繊維、綿、麻などを原料にしたクロスで、布クロスとも呼ばれます。不織布、平織り、綾織などがあり、高級感があるのが特徴です。自然素材で作られているので調湿性があり、室内の湿気を吸収してくれます。織り目にホコリが溜まりやすいため、こまめなお手入れが必要です。丈夫なクロスであるため、比較的長持ちします。
クロスの中ではシェアは低いですが、ホテルや美術館などで使われており、高級感を演出したい場所で活躍します。
紙クロス
パルプを原料とする洋紙を原紙とし、プリント加工やエンボス加工を施したものを紙クロスと呼びます。紙クロスは吸音性に優れており、通気性が高いといった特徴を持っています。また、調湿性もあるため室内の湿気を吸収してくれる効果もあります。自然素材で作られた紙クロスはホルムアルデヒドなどの有害物質を放出しないため、シックハウス対策としても注目されています。
ほとんどの紙クロスが輸入ですが、コウゾ・ミツマタなど国産の原料を使った手すき和紙もあります。手すき和紙は輸入クロスにはない和の味わいがあり、当然ですが和室によく合います。
珪藻土クロス
珪藻土(けいそうど)は自然素材のひとつで、藻類の一種である珪藻の殻の化石が堆積したものです。ホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれていないため、シックハウス対策として使用されています。無数の孔があるため調湿性に優れており、梅雨や夏の多湿な時期は不快な湿気を吸収し、冬は吸い込んだ水分を放出した乾燥を防いでくれます。脱臭機能もあり、お部屋の消臭にも効果を期待できます。
珪藻土は壁材ですが、クロスとして加工した珪藻土クロスもあります。自然素材なので、見た目も触った感触もあたたかみがあるのが魅力です。
クロス・壁紙の機能
防カビ機能
表面にカビが発生しにくいように加工されたクロスもあります。日本は高温多湿な風土なので、特に梅雨の時期はクロスにカビが発生しやすいです。カビはクロスを劣化させる原因となり、見た目も悪くなってしまいます。防カビ機能があるからといってそれだけで完全にカビを防ぐことはできないので、室内に湿気を溜め込まないように換気、除湿をしてカビを防ぎましょう。
汚れ防止機能
特殊な表面加工を施されており、表面に汚れがつきにくくなっています。汚れがついても落としやすいクロスもあるので、お手入れがしやすいです。クロスはホコリなどでだんだん汚れていってしまうので、こまめなお手入れが苦手な方には汚れ防止機能が備わっているクロスがおすすめです。
表面強化
傷がつきにくいように表面加工しているもので、引っかき傷などがつきにくくなっています。猫は壁や柱などで爪とぎをする習慣があるので、室内でペットを飼われている方に向いています。
抗菌加工
抗菌フィルムを表面にラミネート加工するなど、菌が付着しにくいように加工されているクロスもあります。クロスに菌が付着して繁殖すると不衛生なので、クロスを常に清潔に保ちたい方に向いています。
消臭機能
タバコやペットの臭いなど、室内の臭いを吸着し、分解除去してくれる機能です。表面に消臭剤を加工したもの、光触媒で消臭するものなどがあります。
耐水・撥水加工
水や湿気を吸収しにくいように加工されたものです。クロスは水を吸収すると剥がれやすくなり、カビが発生しやすくなるので、キッチンや洗面室、トイレなどの水回りには耐水・撥水加工が施されているクロスが向いています。
吸放湿性・調湿性
吸放湿性は、室内の水分を吸収して不快な湿気を防ぎ、吸収した水分を放出して乾燥を防ぐ機能です。織物クロス、紙クロス、珪藻土クロスなど、自然素材を使ったクロスには調湿機能が備わっており、室内の湿度環境を快適にしてくれます。塩化ビニール樹脂に親水性高分子ポリマーを配合することにより、吸放湿性を持たせたクロスもあります。
まとめ
クロスは種類によって価格、機能、デザイン、手触りが異なります。安価で済ませたいならビニールクロス、高級感を演出したいなら織物クロス(布クロス)、シックハウス対策や調湿機能が欲しいなら紙クロスや珪藻土クロスなど、目的によって選ぶクロスが変わってきます。
クロスによって防カビ、抗菌、汚れ防止、吸放湿性・調湿性、脱臭などの機能が異なるため、使用しているクロスによってお手入れの手間や快適さが随分違ってきます。賃貸物件を内見する際は、どんなクロスを使っているのか、どんな機能を持っているのかぜひチェックしてみください。