一人暮らしは食材が余ってしまうことが多いですよね。残った食材を冷蔵庫に入れておいたら、いつのまにか傷んでいた……そんな経験をした方は少なくないのでは? 一人暮らし用の小型冷蔵庫の場合、容量が少なく野菜室もついていないので食材の保管に頭を悩ませることが多いでしょう。
実は、じゃがいもや玉ねぎは冷蔵庫に入れないほうが傷みにくく、味も落ちにくいのです。反対に、常温保存が一般的なお米や油は冷蔵庫に入れた方が酸化を防ぐことができ、味の劣化を避けられます。そうした意外に知られていない、冷蔵庫に入れるべきでない食材と、入れておくべき食材をご紹介します。
なお、この記事では野菜室付きの冷蔵庫がない状況を想定しています。機種や設定にもよりますが、野菜室の温度は冷蔵室より数℃高く、3~8℃に保たれていることが多いです。本記事で「冷蔵庫に入れるべきでない」としていても、野菜室付きの冷蔵庫がある場合はそちらに入れた方がよい場合があります。
冷蔵庫に入れるべきでない食材
玉ねぎ
玉ねぎは湿気と密封された場所に弱い野菜で、冷蔵庫は玉ねぎの保存場所には向いていません。玉ねぎは風通しが良く湿気が少ない場所に保存しておくのがベストで、常温でも十分長持ちします。玉ねぎ同士が触れ合わないように保存しておくとさらに長持ちしますので、1個ずつネットに入れておく、または1個ずつ新聞紙で包んで玉ねぎ同士が触れ合わないようするとなおよいです。
春、秋、冬は冷蔵庫ではなく、風通しが良い場所で常温保存するのが一番ですが、室内の湿気が増える梅雨〜夏の時期は、冷蔵庫に入れておいた方がいい場合もあります。梅雨〜夏は室内の湿気の状況に合わせて保存場所を考えましょう。
じゃがいも
じゃがいもも湿気があると傷みやすくなるので、湿気を避けて保存します。保存場所には風通しの良い場所を選び、湿気から守るために4〜5個ごとにまとめて新聞紙に包んでおく、または下に新聞紙を敷いておきます。
じゃがいもは日が当たると芽が出やすいので暗所に保存しておきます。箱に入れて保存する場合は、光を確実に遮るために上から新聞紙をかぶせておいた方がよいでしょう。
冷蔵庫の中は室内よりも乾燥しているので、そのまま入れておくと乾燥の影響を受けてじゃがいもがシワシワになってしまいます。また、じゃがいもには3~5℃の環境で保存しておくとデンプンが糖分へと変わって甘味が増す性質があります。糖分が増えたじゃがいもは肉じゃがなど煮物には向いていますが、糖分が多い状態で揚げ物をすると色が濃くなり、じゃがいもを蒸かした時のホクホクした感じが薄れてしまいます。
サツマイモ
サツマイモは寒さに弱い野菜で、冷蔵庫に入れると低温障害を起こして早く腐ってしまいます。サツマイモの適温は12~13℃ですので、1個ずつ新聞紙に包んで常温保存しておくのが一番です。
里芋
里芋は5℃以下の環境では腐りやすくなってしまうので、冷蔵庫には入れずに新聞紙に包んで風通しの良い場所に保存しておきます。泥付きで販売されているものもみかけますが、泥は里芋を乾燥から守ってくれるので落とす必要はありません。傷がついているとそこから傷んでしまいますので、購入時にはなるべく傷のないものを選びましょう。
ショウガ
ショウガの適温は14℃であるため、冷蔵庫には入れず、風通しの良い暗所に保管してください。ショウガを冷蔵庫に入れると低温障害を起こして傷みやすくなります。スーパーで低温の場所に陳列されているショウガは低温障害を起こしている場合があります。一部が黒ずんでいるショウガは傷んでいるので避けた方がいいでしょう。
きゅうり
きゅうりは低温、水、熱に弱い野菜で、保存の適温は10~15℃程度です。温度が下がり過ぎるとビタミンCが壊れやすくなるため、風通しがよい暗所に保存しておきましょう。きゅうりは傷みやすいので、早めに食べるようにしてください。食べ切れない場合は漬物やピクルスにすると長持ちします。
ナス
ナスは低温や乾燥に弱い野菜で、保存適正温度は10℃前後と言われています。冷やしすぎると身が縮んでいってしまうので、冷蔵庫には入れないようにしましょう。乾燥にも弱いので、水分が蒸発しないように1個ずつラップで包んでください。ナスは保存期間が短い野菜ですので、きゅうりと同様に早めに食べましょう。
お茶の葉
お茶の葉には臭いを吸着する性質があるため、開封済みのお茶の葉を冷蔵庫に入れておくと他の食品の臭いがうつってしまいます。開封後は密閉できる容器に入れて冷暗所に置き、臭いがする食品を近くに置かないようにしましょう。未開封で外気に触れていない場合は、冷蔵庫や冷凍庫で保存してもOKです。ただし、使用する際は開封前に常温に戻してください。冷えたまま開封すると湿気がついて鮮度を損ねます。
はちみつ
はちみつを冷蔵庫に入れて冷やすと糖分が結晶化して白いツブツブができます。結晶化しても問題なく食べられるのですが、食感がジャリジャリして味が落ちてしまいます。はちみつは強い殺菌力を持っているので、開封後でも常温で保存して大丈夫です。天然のはちみつは腐ることがないと言われるほどの保存性がありますが、長期保存すると色が濃くなり味も落ちてきます。2年以内を目安に食べ切るようにしましょう。
ちなみに、一度冷やして結晶化してしまったはちみつも、45~60℃のお湯で湯煎して溶かすことで元に戻せます。
冷蔵庫に入れるべき食材
お米
お米を常温保存している方が多いと思いますが、18℃以上、かつ多湿になるとお米に虫がつきやすくなります。お米の正しい保存方法は、10〜15℃の涼しくて湿気が少ない暗所です。お米は常温、かつ空気が触れる場所に置いておくと酸化が進みやすくなるので、酸化を防ぐために密封して冷蔵庫に保存しておくと美味しさが長持ちします。
袋のままでは冷蔵庫に入れにくいので、空きペットボトルを使います。空きペットボトルに移し替えると冷蔵庫に入れやすいですし、ペットボトルは空気に触れずに保存しておけるので便利です。牛乳パックを保存容器として使う場合は、お米に空気を触れさせないようにクリップなどで蓋をしておきましょう。
お米は野菜と違って鮮度と関係ないように思ってしまいますが、長期保存をするとだんだん味が落ちていってしまいます。お米を美味しい状態で食べるために、春秋なら1ヶ月以内、梅雨や夏は2週間以内、冬は2ヶ月以内に食べるきれる量を買うのがよいとされます。
ナッツ類
ナッツ類はおやつやおつまみにぴったりです。手の届くところに常備している方も多いのでは。しかし、ナッツ類は冷蔵庫に入れておいた方がよい食材です。ナッツ類は油脂をたくさん含んでいるため、常温で保存していると酸化が進んで味や風味が落ちてしまいます。ナッツ類はなるべく空気に触れないよう密封し、冷蔵庫で保管しましょう。
食用油、醤油
食用油や醤油は開封して空気に触れると酸化が進むため、しっかり蓋を閉めて冷蔵庫に保存しておく方がよいです。冷蔵庫に入れるスペースがない場合は、低温の涼しい場所に置いておきましょう。
カットした野菜
野菜は収穫後も呼吸をしており、「エチレンガス」という熟成や成長を促進するホルモンを発生させています。エチレンガスはとくに切り口から発生しやすいため、カットした野菜は日持ちがしにくくなります。そのため、常温保存が適した野菜でも、一度カットした場合はラップをして冷蔵庫に保存するのが基本です。低温かつ低酸素の状態にすることで、野菜の呼吸を抑え、エチレンガスの発生を防ぐことができます。
ちなみに、エチレンガスは野菜よりも果物で多く発生します。他の野菜と一緒に果物を保存するときは、チャック付きポリ袋に入れるなどして隔離するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか? 不適切な保存方法で食材は悪くしてしまうのは不経済ですし、まだ食べられたはずのものを捨てるのは後ろめたいものです。食材の正しい保存方法をマスターして、おいしいものを無駄なく食べましょう。