入居前に要確認!普通借家契約と定期借家契約の違いって何?

入居前に要確認!普通借家契約と定期借家契約の違いって何?

賃貸契約には普通借家契約と定期借家契約があるのをご存知ですか? 聞いたこともないという方が多いかもしれませんが、賃貸契約を結ぶなら普通借家契約と定期借家契約の違いは必ず知っておくべきです。

今回は、物件探しをする際には必ず知っておきたい普通借家契約と定期借家契約の違いついてまとめました。

借家契約とは?

借家契約は、賃貸物件を借りる際に貸主、または不動産会社と結ぶ契約です。家を借りる契約と書くことから分かるように、賃貸物件を借りるには借家契約が必須です。

借家契約には普通借家契約と定期借家契約の2種類があり、それぞれ契約方法や契約期間が異なります。どちらの借家契約を結ぶかによって契約更新や中途解約の条件が変わりますので、賃貸契約を結ぶ前に要確認しておくべき事項です。

普通借家契約とは?

普通借家契約は第二次世界大戦の頃に作られた制度です。衣食住が安定していない当時、住む場所だけでも追われないように、賃貸契約は借主の意志で延長できる普通借家契約が作られました。普通借家契約は家賃滞納などをしない限り、借主が望めば契約更新をし続けられます。そのため、借主側に有利な内容になっています。

【契約期間】
契約期間は1年以上で、契約期間が過ぎても借主が契約更新を望めば契約を更新できます。もし1年未満で契約を結んだとしても、借主に不利を生じさせるため無効になり、期間の定めの契約とみなされます。

【中途解約】
借主側からの中途解約の申し出があった場合、中途解約の特約に従って解約することができます。特約では解約予告期間やすぐ解約するには所定の金額を支払う旨が定められていることが多いです。

借主が家賃滞納や善管注意義務を怠った場合など、正当な事由がない限りは貸主側から解約することはできません。

【建物の賃貸借期間の上限】
2000年(平成12年)3月1日以前に結んだ場合、賃貸借期間の上限は20年です。2000年3月1日以降に結んだ場合は上限がなく、無制限です。

【契約方法】
契約は書面で行うのが一般的ですが、口頭でも契約は成立します。口頭で賃貸契約を交わした場合は、普通借家契約とみなされます。

定期借家契約とは?

定期借家契約は、2000年(平成12年)にできた制度で、優良な賃貸住宅の供給促進を目的として導入されました。普通借家契約では借主の都合で更新がいくらでもできてしまうので、例えば転勤期間中のみ物件を貸し出したいといったニーズが叶いにくかったからです。

【契約期間】
契約更新がなく、契約期間満了で契約が終了します。借主の意志に関わらず、契約が終了したら明け渡さなければなりません。普通借家契約は借主が望めば半永久的に契約更新できますが、定期借家契約では契約期間がきっちり決められています。貸主と借主の双方の合意があれば、再契約を結ぶことができます。

なお、貸主は借主に対し、期間が満了する1年前から6カ月前までの間に、期間満了により契約が終了することを通知しなければいけません。これを怠ると、期間が満了しても契約終了を主張することができなくなります。

【中途解約】
中途解約ができるのは床面積が200㎡以下の居住用建物であることが条件で、やむをえない事情で借主が生活の本拠として使用することが困難になった場合、契約の申し入れから1ヶ月後に契約終了とすることができます。ただし、中途解約に関する特約がある場合はこの限りではありません。

【建物の賃貸借期間の上限】
上限は定められていません。借主・貸主が合意すればどれだけ長くても問題ありません。

【契約方法】
口頭での契約は認められておらず、書面による契約が必須です。口頭で契約をしていた場合は、普通借家契約とみなされます。

非再契約型の定期借家契約

定期借家契約には、非再契約型と再契約側の2種類があります。非再契約型は、契約期間満了したら、再契約をしないことを前提として結ぶ契約です。借主が望んでも再契約ができないため、転勤の間のみ貸したい場合や、建て替えの予定がある場合など、期間限定で貸したいときに使われます。

借主は契約期間が満了したら必ず退去しなければならないので、期間限定であることを理解した上で契約を結びましょう。

再契約型の定期借家契約

再契約型は、契約期間満了後に再契約を結ぶかどうかを貸主と借主が協議して決めます。再契約を前提としているため、家賃滞納や善管注意義務を怠るなど契約違反がない限りは、希望すれば再契約を結ぶことができます。

期間を定めずに住みたい場合は、再契約型の定期借家契約を結ぶ方が安心です。借主が望めば契約更新ができる点は、普通借家契約と同じですが、契約違反がみられた場合は再契約を結んでもらえない可能性があります。

賃貸契約を結ぶ際にチェックすべきポイント

ここまで解説した通り、普通借家契約と定期借家契約では契約期間や再契約に関する決まりが異なります。しばらく住むつもりで借りたのに、非再契約型の定期借家契約であったがために、契約期間満了で退去を余儀なくされる、というケースも充分ありえます。

仲介業者からこうした説明はなされるはずですが、念のため契約書の内容もきちんと確認してください。普通借家契約か定期借家契約か、定期借家契約でも非再契約型か再契約型で大きく異なりますので、どの借家契約を提示されているのかは必ず確認しておきましょう。契約更新をする予定ならば、普通借家契約か、再契約型の定期借家契約の物件を探してください。

まとめ

いかがでしたか。契約と聞くといかにも難しそうですが、以外にシンプルな決まりごとであるのをご理解いただけたのではないでしょうか。基本的に、普通借家契約は借主に有利、定期借家契約は貸主に有利な契約ですが、反面、定期借家契約の物件は家賃が低く設定されていることが多いです。更新せずに引越をする予定なら、定期借家契約の物件を探すとお得かもしれませんよ。

参考)
賃貸用語辞典・定期借家契約