ライフスタイルの変化によって一人暮らしの高齢者が増えてきています。近隣住民との繋がりが希薄になってきている現在、高齢者の一人暮らしにはいくつかの注意点が存在します。高齢化が進むいま、高齢者の一人暮らしは、決して他人ごとではありません。注意点と解決策を確認しておきましょう。
また、高齢者が借りられる賃貸は見つけにくいこともあります。高齢者歓迎の物件はこちらで特集しています。
高齢者の一人暮らしが年々増加
一人暮らしをする高齢者は年々増加傾向にあります。
近年、ライフスタイルの変化により、独身を貫く人も決して珍しくなくなりました。さらに、家族のスタイルも変わってきています。ひと昔前であれば、結婚をして、親をも含めた大家族で暮らすというのが一般的な家族のありようでした。しかし、近年は核家族化が進み、配偶者の死後、子どもがいても一緒に住まずに、高齢者が一人暮らしをしているケースも珍しくなくなってきているのです。
一人暮らしの高齢者の増加は、国の調査数値にもしっかりとあらわれています。内閣府の調査によると、1980年の段階では一人暮らしをしている高齢者は、男性19万人、女性69万人程度でした。高齢者人口に対する割合は、それぞれ男性4.3%、女性は11.2%にしか満たなかったのです。
しかし、2010年には男性約140万人、女性が約340万人まで増加。人口に対する比率も男性14.6%、女性22.6%まで上昇しています。この数値は今後もどんどん上昇していくとみられていて、2025年には男性約230万人、女性約470万人になると予測されているのです。人口に占める割合は男性14.6%、女性22.6%となり、高齢女性の約4人に1人は一人暮らしになる見込みなのです!
自分自身は大丈夫であっても、自分の両親や祖父母が一人暮らしの高齢者になる可能性は十分にあります。そのときに慌てないためにも、高齢者の一人暮らしの注意点はしっかりと確認しておくべきでしょう。
高齢者の一人暮らしの注意点
高齢者の一人暮らしは、以下の4つの事柄に注意が必要です。いずれも高齢者一人では解決したり対処したりするのが難しい事柄だといえます。家族の支えや福祉制度の活用もあわせて検討していくと良いでしょう。
認知症によるトラブル
高齢者になると、どうしても認知症を避けることはできません。認知症によってトラブルが起こる可能性があるという点に注意が必要です。
たとえば、地域ごとに定められたルールを忘れてしまって守れなくなるということもあります。さらに、火やガスの管理をうっかりと忘れてしまって、大きな事故に繋がることもあるのです。加えて、認知症によって昼夜の区別がつきにくくなり、夜中に騒いで近隣の迷惑になってしまうこともあるのです。
これらのトラブルが続くと、賃貸の場合は住んでいる場所から追い出されてしまうケースもあります。
このようなケースを避けるためには、家族が頻繁に様子を見に来るのが大切でしょう。加えて、火やガスを使わなくても済むように、食事のデリバリーサービスに申込をするのも大切です。
また、家族が近くにいないのならば、施設への入所や地域の見守りサービスの利用を検討していきましょう。
詐欺に合う可能性も
認知症によって判断力が低下していると、加害者になるだけでなく、犯罪の被害者になる可能性もあるのです。
近年、高齢者を狙った悪質な詐欺や盗難が増えています。一人暮らしをしている高齢者は、詐欺や盗難のターゲットにされがちです。契約内容をきちんと理解しないまま、不要な契約を結ばされて、お金を取られる可能性もあります。
もしも、判断能力が低下しているなら「成年後見制度」を活用しましょう。この制度を利用すれば、高齢者本人一人では契約が結べなくなり、詐欺や違法な契約を避けることができます。
病気になったときの看病
高齢者になると体が弱ってきます。病気にもなりやすく、病院にも定期的に通わなくてはならなくなるでしょう。しかし、倒れたり病気になったりしても、一人暮らしでは誰からも看病をしてもらえない可能性があるという注意点があるのです。病気で苦しい中、買い物や食事の準備をしなくてはならないので大変だといえるでしょう。
いざというときに頼れる家族や知人を見つけておく、デイサービスの利用を検討しておけばある程度は対処が可能です。また、病院やコンビニが近い場所に住むようにするのも一つの対策だといえます。
孤独死の可能性も
高齢者の場合、病気になって動けないまま、そのまま亡くなってしまうということもあります。近年は、地域における個人同士の付き合いが希薄になってきていますから、近所の高齢者の姿をしばらく見なくても誰も気にしないということもあるのです。
結果、気づいたら、死後かなりの期間が経過していたということも。このような悲しい事態を避けるためには、普段から周囲ときちんと連絡を取るようにしておくといった対処が効果的です。デイサービスや地域見守りサービスなどを利用しておけば、孤独死も避けられるといえます。
サービス付き高齢者向け住宅という選択肢も
高齢者になると身体的な機能や認知機能が衰えるのは当然のことです。そのため、若い頃とは違って一人暮らしでもさまざまな不安要素や注意点が発生してきます。ただ、施設に入ってしまうと外出などが思うようにいかず、不満に思うこともあるでしょう。
そのような方にお勧めなのが「サービス付き高齢者向け住宅」、通称「サ高住」です。サ高住ならば、食事サービスや安否確認など、高齢者が一人暮らしをする上で安心できるサービスが整っています。
施設ではありませんから、外出や家具の配置なども自由です。ある程度は自立した生活を送りたい方におすすめといえます。以下の記事で詳しくメリットやデメリットをご紹介していますので、確認してみてください。
両親・祖父母が一人暮らしになったら?知っておきたいサービス付き高齢者向け住宅(サ高住・サ付き)の基礎知識
おわりに
高齢化社会が進行するにつれ、高齢者の一人暮らしはどんどん増加していく可能性があります。
自分自身が高齢者になったときに一人暮らしをする可能性もありますし、配偶者との死別などが原因で身近な高齢者が一人暮らしをスタートすることもあるでしょう。
高齢者の一人暮らしは、病気や認知症になったときの対処などで注意が必要ですし、孤独死の可能性もあります。施設やデイサービスなどの福祉フォローはもちろん、家族の支援も重要です。さまざまなサービスを知るようにして、安心できる高齢者の一人暮らし生活を実現しましょう。
また、高齢者の一人暮らしは立地なども大切です。便利な場所に部屋がないかをこちらの特集ページからも確認してみてくださいね。