日本は世界の中でも地震が多い国で、これまでに何度も大地震が発生しています。住宅の耐震性によって安全性が大きく左右されるため、地震に備えるためには耐震についての知識が必要です。
一口に耐震と言っても、耐震以外に制震や免震といった構造もあります。しかし、「耐震、制震、免震の違いは？」と聞かれるとうまく答えられないですよね。そこで今回は、耐震、制震、免震のそれぞれの特徴を詳しく解説します。また、タワーマンションの耐震性についても紹介しますので、参考にしてください。
いつ地震がくるかわからないからこその不安
台風は発生や進路を予想できますが、地震に関しては未だに正確な予測方法が発見されていません。現時点では地震の発生地点や時期は専門家でも明確にはわからないゆえ、いつ地震がくるかわからないという不安は常につきまといます。
いつくるかわからないなら、出来る限りの地震対策をしておくしかありません。住宅を選ぶ上で知っておきたいことが「耐震、制震、免震の違い」です。なんとなく一緒くたに考えている方も多いと思いますが、それぞれ地震の揺れに対抗する術が異なります。3つの構造にはどのような違いがあるのか、これから詳しく解説します。
耐震・制震・免震の違い
耐震
耐震は壁や柱、筋交いを補強し、構造用合板を入れて建物自体の強度を高め、地震の振動に耐えうる住宅にすることです。耐震構造は多くの住宅で採用されており、現在の日本における主要な地震対策となっています。
地震という大きな力に対し力で耐える、とイメージしてもらうとわかりやすいと思います。耐震構造の住宅は地震の揺れに対して耐えられるように作られていますが、揺れを軽減することはできないため、強度が重要となります。
住宅の耐震性を判断する上でひとつ知っておいていただきたいことがあります。それは、1981年（昭和56年）以前に建てられた住宅なのか、以降に建てられた住宅なのかという点です。
1981年6月1日に新耐震基準が施行され、耐震基準が見直されました。旧耐震基準では震度5程度の地震に耐えうる構造が求められましたが、新耐震基準では震度6〜7程度の地震でも倒壊しないことが建築の条件となりました。
そのため、1981年以降に建てられた住宅の方が高い耐震性を満たしています。1981年以前に建てられた住宅も耐震リフォームで耐震性を強化することはできますが、していない場合は現在の新耐震基準を満たしていない可能性があります。
もちろん新耐震基準はマンションにも適用されるので、賃貸物件を探す際は1981年以前か以降かをチェックしておきましょう。
耐震構造については、こちらのページでも詳しく解説しています。
制震
制震は建物の内部にダンパーや錘（おもり）などの制震装置を組み込み、地震のエネルギーを吸収させることで揺れを軽減します。建物は上階になるほど揺れが大きくなるため、高層ビルなどで制震が採用されています。
東京スカイツリーにも制震が採用されているのですが、実は「五重塔」をヒントにした制震構造になっているそうです。「五重塔」は古い建物にも関わらず、これまえ地震で倒壊した例がありませんでした。それは、「心柱」と呼ばれる構造が制震の役割を果たしているからだそうです。
「五重塔」の「心柱」をヒントに、東京スカイツリーでは「心柱制振」と呼ばれる制振システムを採用し、地震の揺れを軽減しています。あれだけ高い東京スカイツリーが地震に耐えられるのは、制震システムがあるからなんですね。
免震
免震は建物と基礎部分との間に免震装置を設置することにより、建物と地盤が切り離された構造になっています。これにより、地震の揺れが建物に直接伝わらず、大きな地震の揺れでも建物が受ける振動が最小限に抑えられます。
免震という字は、「地震」を「免れる」と書きますがその言葉の通り、耐震のように地震に耐えるのではなく、制震のように地震の揺れを装置で軽減するのではなく、建物が地震の揺れ自体を受けにくい構造になっています。
耐震、制震、免震の3といった3構造耐震の中で、免震が最も地震の揺れを小さくできます。免震は建物自体の揺れが少ないため、家具や家電製品が転倒する可能性が低く、建物が損傷を受けにくいとされています。
免震構造は東京駅丸の内駅舎に採用されるなど、今注目を集めています。ただ、免震は耐震と比べて工事費用が高いため、費用の面にネックがあります。
タワーマンションの耐震性は？
タワーマンションの耐震性は、耐震、制震、免震のいずれを採用しているのかによって大きく変わります。タワーマンションでは制震構造が採用されている場合が多く、地震の揺れだけでなく暴風による揺れを軽減できるように作られています。
最近では制震と免震を組み合わせた構造を採用するタワーマンションも増えており、免震が普及し始めています。タワーマンションを選ぶ際は、どのような耐震構造を採用しているのかを確認しておきましょう。
知識と実践が防災対策に繋がる
地震や台風などの災害の被害は他人事ではありません。特に地震はいつどこで起こるか分かわかいため、常に備えが必要です。
地震の場合は建物の地震対策がどのようなものなのかによって被害が大きく左右されるため、賃貸住宅に住む場合も必ず確認して選んだ方が安心です。もちろん建物の耐震性だけでなく、地盤なども関係してくるので、より安全性を高めるなら事前に土地と建物について調べておいた方がいいでしょう。
まとめ
耐震、制震、免震はそれぞれ構造が異なることがお分かわかただけたかと思います。「耐震」は「揺れに耐える」、「制震」は「揺れを制する」、「免震」は「揺れを免れる」と解釈すると覚えやすいです。
タワーマンションの賃貸は、こちらのページからお探しいただけます。賃貸を探す際は、耐震、制震、免震のいずれの構造を採用しているのかチェックしてみてください。