
デザイナーズマンションの中にはコンクリート打ちっ放しの物件があります。コンクリートの無機質でクールな質感におしゃれさを感じますよね。しかし、コンクリート打ちっ放しの賃貸住宅には、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットを知らずに入居してしまうと後悔してしまうこともあるでしょう。憧れのコンクリート打ちっ放し物件に住む前に知っておきたいメリット・デメリットをまとめました。
コンクリート打ちっ放しとは?
建材にコンクリートを使用する建築物は、通常、塗装・タイル張り・石張りといった仕上げを行いますが、コンクリート打ちっ放しはこれらの仕上げを行わず、あえてコンクリートをむき出しの状態にしています。当然、壁材がコンクリートでなければコンクリート打ちっぱなしにはできないので、構造は鉄筋コンクリート(RC造)や鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)に限られます。
コンクリート打ちっ放しの4つのメリット

コンクリート打ちっ放しのメリット1:おしゃれ!
コンクリート打ちっ放しはなんと言ってもおしゃれさが大きなメリットです。コンクリート打ちっ放しは塗装を施さないことにより、コンクリートのクールな材質感でおしゃれさを演出しています。デザイナーズ住宅で採用されていることが多く、ちょっとワンランク上の部屋に住んでいるという満足感が得られます。
コンクリート打ちっ放しのメリット2:遮音性・防音性が高い
コンクリートは遮音性が高く、壁が厚くなるほど遮音性が向上します。木造住宅だと壁が薄く隣の部屋のテレビの音が聞こえたり、歩く音が下の階に響いたりしますが、コンクリート打ちっ放しの部屋は遮音性・防音性が高いため、室内の音が隣や下の部屋に響きにくいというメリットがあります。隣の部屋の生活音も聞こえにくいので、遮音性を重視する方におすすめです。
コンクリート打ちっ放しのメリット3:開放感がある
コンクリート打ちっ放しは壁面のコンクリートで建物を支えているため、柱のない大空間が可能となります。木造住宅よりも広々としていて、開放感があります。
コンクリート打ちっ放しのメリット4:耐火性・耐熱性に優れている
木材は260~416℃で発火が始まりますが、コンクリートは1,000℃の炎でも2時間耐えられるほどの耐火性があるため、万が一火事になってもすぐには燃え広がりません。耐火性が低い木造住宅より、コンクリートの方が安心です。
コンクリート打ちっ放しのデメリット
コンクリート打ちっ放しのデメリット1:夏は暑く、冬は寒い

理想の住環境は「夏は涼しく、冬は暖かい」ですが、コンクリート打ちっ放しは「夏は暑く、冬は寒い」という反対の住環境になってしまう点がデメリットのひとつです。コンクリートは熱伝導率が高く、熱容量が大きい素材であるため、断熱材を使用していないコンクリート打ちっ放しでは夏と冬の室温が理想とは真逆になってしまいます。
熱伝導率は熱の伝わりやすさを示す値で、熱伝導率が高いほど熱を伝えやすく、低いほど熱を伝えにくくなります。空気は熱伝導率が低いため、二重窓(複層ガラス)は2枚のガラスの間に空気の層を設けることで断熱し、断熱材は繊維の間に空気を保持することで断熱効果を得ています。コンクリートは木材よりも熱伝導率が高く、冬は冷気が室内に伝わって寒くなります。
熱容量は物体の温度を1℃上昇させるために必要な熱量のことで、熱容量が大きいと温まるのが遅い反面、熱が冷めにくく、小さいと温まるのが早い反面、熱が冷めやすくなります。コンクリートは熱容量が大きいため、冬は室内が温まりにくく、夏は昼間に蓄積された熱がなかなか冷めずに夜まで暑さが残ってしまいます。
コンクリート打ちっ放しのデメリット2:光熱費が高くなる
「夏は暑く、冬は寒い」という性質のため、夏は熱が冷めにくいのでクーラーを、冬は温まりにくいので暖房を使う頻度が増えます。断熱対策が施されていれば光熱費は抑えられますが、断熱材が施工されていないコンクリート打ちっ放しの物件は、光熱費が高くなりがちです。
コンクリート打ちっ放しのデメリット3:結露・カビが発生しやすい
コンクリートは砂や砂利をセメントと水で混ぜて固めて作っており、10年ほどかけて徐々に水分を放出していきます。特に建築してから3年ほどは水分の蒸発量が多いため、結露が発生しやすいです。そのため、新築のコンクリート打ちっ放しの物件では湿気対策に気を配る必要があります。結露を放置するとカビやシミの原因となってしまいます。押し入れやクローゼットは閉めっぱなしにせず、少し開けておく方が良いでしょう。
コンクリート打ちっ放しのデメリット4:防水性が低い
コンクリートは防水性が低いため、時に部屋の中まで雨が染みこんでくることもあります。雨染みが付きやすいのもコンクリートの弱点です。
断熱対策をしているコンクリート打ちっ放しを探そう
コンクリートは性質上、「夏は暑く、冬は寒い」という室内環境になってしまいますので、断熱対策をしている物件を探すことをおすすめします。断熱材を施工することで外から伝わる熱気や冷気を遮断することができ、クーラーや暖房で調整した室温が外に逃げにくくなるため、冷暖房効率がアップします。体感的に快適になりますし、光熱エネルギーのロスが発生しにくいので、断熱対策をしていない物件よりも光熱費が抑えられます。
まとめ
いかがでしたか? メリットとデメリットをふまえ、断熱対策をしている物件を探すなど、快適に過ごせるコンクリート打ちっ放しの物件を探してみましょう。
参考)
・賃貸用語辞典・コンクリート打ちっ放し