賃貸も無関係じゃない!知識がなくても分かる5つの耐震チェックポイント

賃貸も無関係じゃない!知識がなくても分かる5つの耐震チェックポイント

耐震チェックは戸建住宅だけではなく、賃貸住宅選びにも大きく関係しています。地震が多い日本ではどの建物、どの地域でも地震に対する備えが必要です。

地震に強い賃貸住宅を選ぶための参考になる、耐震構造の基礎知識をふまえた5つのチェックポイントを解説したいと思います。難しいイメージがある耐震構造ですが、ポイントをおさえれば誰でも耐震チェックができます。自分、そして大切な家族・恋人を守るために、賃貸マンション・賃貸住宅に引っ越す際は耐震性を必ずチェックしておきましょう。

賃貸住宅でチェックしておきたい耐震構造

賃貸住宅の耐震性をチェックするポイントは、大きく分けると5つあります。これから紹介する5つの耐震チェックポイントは、建築の知識がない方でも耐震チェックに活用できます。戸建住宅、賃貸住宅のいずれにも当てはまることですので、覚えておいて損はありません。

耐震構造のチェックポイント1:建築年が1981年以前か以降か

住宅などの建物を建てる際は、定められた耐震基準をクリアしなければなりません。耐震基準と聞くとチェックが面倒くさそうな印象がありますが、あるひとつのポイントを見れば、耐震性の判断に役立てられます。

そのポイントとは、建築年です。

1981年(昭和56年)6月1日に建築基準法が改正された際、耐震基準が大幅に見直されたため、改正以降に建てられた建物は基本的な耐震性が向上しています。阪神淡路大震災では耐震基準改正前=1981年以前に建てられた住宅の被害が多かった一方、改正後=1981年以降に建てられた住宅の被害は少なくて済みました。

もちろん、耐震性は老朽化も影響するため、1981年以降建築の住宅でも年月が建てば耐震性が低下し、1981年以前建築でも耐震補強や改装で耐震性が向上している場合がありますが、元々の耐震性能は1981年以降建築の住宅の方が高くなっています。建築年だけで耐震性が充分かは判断できませんが、建築年が耐震基準改正前の1981年6月1日以前か以降かは、耐震性能を確認する上でのひとつの目安となっています。

耐震構造のチェックポイント2:建物の構造

建物の構造は、主に木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造があります。それぞれの耐震性の特徴をまとめました。

木造:
木造の住宅は耐震性が劣っていると思われがちですが、軽さとしなやかさがあるため、揺れが小さくなります。2000年(平成12年)にも耐震基準が改正されており、その際に木造住宅の耐震性に関わる改正があったため、1981年以前と以降だけでなく、2000年以前と以降でも木造住宅の耐震性が変わります。床下や柱がシロアリの被害を受けているなど、建材の劣化には要注意です。

鉄骨造:
鉄骨造は鉄や鋼を用いる構造で、鉄・鋼は粘りによって地震の揺れを吸収するのが特徴です。鉄・鋼は不燃物であるため火災に強いと思われがちですが、摂氏540℃前後で急激に強度が低下してしまうため、地震による火災の消火が遅れると倒壊する危険性があります。

鉄筋コンクリート造:
鉄・鋼に加え、コンクリートで補強しています。鉄筋は粘り(引っ張る力)、コンクリートは耐圧縮性を持っているため、大きな地震に耐えることができます。重量が大きいため地震の揺れは大きくなりますが、倒壊しにくいため、耐震性は高いです。

鉄筋鉄骨コンクリート造:
柱・梁で鉄骨を組み、その周りに鉄筋コンクリートを配置してコンクリートを流しこむ構造です。4つの構造の中でも最も強度が高く、耐震性も優れています。地震大国の日本で独自に発達した構造で、主に高層マンションに採用されています。

耐震構造のチェックポイント3:建物の形状

建物の形状は耐震性に大きく影響します。最も地震に強いのは、正方形や長方形の住宅です。形状的には最もシンプルな四角の住宅は、極度に一箇所に負担がかかるのを避けることができます。

凹字形、コの字形、L字型など、凹凸が多い形状は特定の部位に地震の力が偏りやすいため、損壊の危険性が高まります。凹字形、コの字形、L字形の場合は、棟によって地震時の揺れ幅が異なるため、接合部分に負担がかりやすくなります。

1階にガレージや倉庫など空洞が多い構造も耐震性の不安があります。1階の空洞部分は柱が少ない分、2階以上の重さを支える力が他の部位と比べて弱いため、空洞部分に負担が集中して損壊する恐れがあります。また2階以上が左右に偏っている場合も同様に、1階への負担が偏ってしまうため、負担が大きい部分が損壊しやすくなります。

凹凸が多い形状は耐震性が劣る部分の耐震補強がしっかり行われているかどうか、入居前に確認しておきたいところです。

耐震構造のチェックポイント4:壁の多さ

室内に壁が多いか少ないかも耐震性に関係しています。ひとつの目安として、ラーメン構造であるか、壁式構造であるかでチェックします。

ラーメン構造は柱・梁のフレームによって耐力を得る構造で、室内に壁がない空間を作ることができ、マンションでよく採用されています。ラーメン構造は壁が少ない分、空間の自由度が高いですが、柱・梁の”線”で地震の力を受けなければならないため、壁が少ない分、壁式構造よりも耐震性が劣るとされます。

壁式構造は壁と床のみで建築します。壁と床の”面”で地震の揺れを受け止めるため、”線”で受けるラーメン構造よりも耐震性が高いとされます。ただし、壁式構造は基本的に5階以上ある建物には採用されないため、低層階のマンションに限られます。

ラーメン構造と壁式構造は、柱の有無で判断することができます。ラーメン構造の場合、部屋の隅等に四角い柱がありますが、壁式構造は柱と梁を使わないため、部屋の角に四角い柱がありません。内見時に柱の有無を確認する、または図面で部屋の角に四角い柱が書かれているか見てください。マンションの構造によってはこの限りではありませんので、一番確実なのは不動産会社に聞いてみることです。

耐震構造のチェックポイント5:老朽化

耐震性に優れた住宅でも、老朽化が進めば耐震性が低下していきます。外壁にヒビが入っている、建物が傾いて扉の開け閉めがしにくくなっている、床がたわんでいる、といった状況が見られる住宅は老朽化が進んでいる可能性があります。特に壁は耐震上、重要な役割を担っていますので、外壁にヒビが入っていると耐震性が低下している可能性が高くなります。

まとめ

地震はいつどこで起こるか分かりません。賃貸を選ぶ上でも耐震性は無関係ではなく、自分と家族の安全を守るために、万が一大きな地震が起きても損壊・倒壊する可能性が低い、耐震性が高い住宅を選びましょう。賃貸住宅に引っ越しをする際は、地震、火災、水害など防災に強い住宅を選ぶと安心です。

賃貸用語辞典で、ここでは解説していない耐震構造について解説していますので、もっと耐震構図について知りたい方はぜひご覧ください。

賃貸用語:耐震構造(たいしんこうぞう)